音楽は心の糧、生活のサプリメント。洋楽を中心に極上の音楽との生活を綴ります。

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Silverの1976年のアルバム『Silver / シルヴァー・ファースト』。
Silver / Silver (1976年)
SilverはLAで結成された5人組。元Batdorf & RodneyのJohn Batdorf(vo, g)と後にGrateful Deadに参加するBrent Mydland(vo, k)、The Eaglesの創設メンバーであるBernie Leadonの弟のTom Leadon(vo, b)等によって1976年に結成された。ウェストコースト産の爽やかなヴォーカル・ハーモニーを聴かせる素敵なグループであるが、本作一枚を残して解散した。

いきなりのメランコリックなバラード「Musician (It's Not an Easy Life)」に感動する。この1曲を聴くためだけにアルバムを手にする価値がある。

この曲は、ミュージシャンとして生きていくことの決意と悲哀を歌っている。サビでは
To be a musician
And I can see
It's not an easy life
It's not an easy life to live.
と歌い、
And I keep on smilin'
Ooooh smilin'
Smilin' to hide the pain
Inside I'm cryin'
Ooooh cryin'
And it's hard
It's hard to explain
と続ける。これをエレピの優しい伴奏と爽やかなヴォーカル・ハーモニーを主体に最後まで切々と歌う。しみじみとした感動を覚える名曲だ。

作者のBrent Mydlandはこの歌のように生きた。79年にGrateful Deadのメンバーになり、90年まで活動し、その年に37歳の若さで亡くなっている(死因はドラッグ)。Brent Mydlandが書いたもう1曲「Climbing」も素晴らしい歌で、高みを目指して上り続けることの希望と不安を歌っている。

収録された10曲のうち7曲がメンバーのオリジナルで、John Batdorfが2曲(6, 10)、Brent Mydlandが2曲(1, 7)、Greg Collierが3曲(4, 5, 9)を書いている。

他作の曲のうち、ポップで爽やかな「Wham Bam (Shang-A-Lang) / 恋のバンシャガラン」はシングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの16位となるヒットを記録した。

「All I Wanna Do」と「Trust in Somebody」も明るくノリの良い曲だが、全体的にはスロー~ミディアム・テンポの穏やかな曲が占める。ラストではEaglesが歌いそうな渋いナンバーの「Goodbye, So Long」を歌い、本当にグループの最後になった。陽気な邦題の付いた「恋のバンシャガラン」の爽やかな "sha la la la" も、何だか刹那的に聴こえる。

●収録曲
1. Musician (It's Not an Easy Life) - 4:47
2. All I Wanna Do - 2:40
3. Memory / 想い出 - 3:28
4. No Wonder - 6:01
5. Trust in Somebody / 誰かを信じて - 3:32
6. It's Gonna Be Alright - 3:06
7. Climbing - 3:18
8. Wham Bam (Shang-A-Lang) / 恋のバンシャガラン - 3:32
9. Right on Time - 2:45
10. Goodbye, So Long / さらば恋人よ - 3:44


◆プロデュース: Tom Sellers(ar), Silver(ar), Clive Davis

◆参加ミュージシャン: John Batdorf(vo, g), Greg Collier(vo, g), Brent Mydland(vo, k), Tom Leadon(vo, b), Harry Stinson(vo, ds)


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2017/09/18 16:42 AOR名盤(1974~1976年) TB(0) CM(0)
Turley Richardsの1976年のアルバム『West Virginia Superstar』。
Turley Richards / West Virginia Superstar (1976年)
Turley Richardsは、このアルバムのタイトルが示すとおり、米ウェスト・ヴァージニア州生まれのシンガー・ソングライター。60年代から音楽活動をしており、その頃はDylanの影響を少なからず受けていたようだ。70年にファースト・アルバム『Turley Richards』、71年にセカンド・アルバム『Expressions』をリリースし、それから5年のブランクを経て本作をリリースした。

76年といえば、Boz Scaggsの『Silk Degrees』がリリースされた年。シンガー・ソングライターのアルバムらしい前2作と比べると、本作は時代の空気を汲んだかのようなソフト&メロウ路線。洗練されたブルーアイド・ソウルを聴けるアルバムとして、金澤寿和氏の『AOR Light Mellow』では増補改訂版に紹介されている。

プロデュースを手がけたTroy Sealsは、Seals and CroftsのJim SealsやEngland Dan & John Ford ColeyのDan Sealsの従兄弟。収録された10曲のうちTroy Sealsが2曲(1, 4)を手がけ、残りをTurley Richardsが書いている。

1曲目の「I Will」は突き抜けるように爽快なグルーヴィー・チューン。どこか垢ぬけない感じのジャケットからは想像もできないような洗練された曲調が意外で、爽やかな印象を残す。

メロウな「Happy」「Play Me」もリラックスするナンバー。R&Bやゴスペルの影響を感じる「New Ray Of Sunshine」やフォーク/カントリー調の「From Dust To Blood」、シンガー・ソングライターらしい「West Virginia Superstar」「What Does It Mean In The End」など、曲の表情は多彩だ。

タイトル曲の「West Virginia Superstar」の歌詞は自伝的な内容。「'64年からは何年も経ってしまったけれど/再び僕の心の中には/希望の炎が燃えている」と歌う。憧れのDylanのように華々しい成功を掴めてはいないが、自分はいつか来るスーパースターなのだと。ジャケットも再起や再生を表現しているようだ。

Turley Richardsは4歳の時に不慮の事故で左目を失明しており、相当な苦労人なのだろうと思う。苦い歌詞の曲はあるが、それを歌う声はとても溌剌としていて、力強さがある。

●収録曲
1. I Will - 3:01
2. Happy - 3:09
3. New Ray Of Sunshine - 3:05
4. Love Is On The Line - 3:55
5. Going Home - 3:49
6. West Virginia Superstar - 4:32
7. From Dust To Blood - 3:29
8. Play Me - 3:49
9. Reflections Of Me And You - 3:32
10. What Does It Mean In The End - 3:21


◆プロデュース: Ron Bledsoe, Troy Seals, Turley Richards

◆参加ミュージシャン: David Biggs/Shane Keister(k), Kenny Malone(ds), Norbert Putnum(b), Reggie Young(g), etc


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2017/07/08 19:45 AOR名盤(1974~1976年) TB(0) CM(0)
Ned Dohenyの1976年のアルバム『Hard Candy』。
Ned Doheny / Hard Candy (1976年)
Ned Dohenyは70年代の米ウェストコースト音楽シーンで活躍した男性シンガー・ソングライター。Jackson BrowneやJ.D. Southerと同時期にアサイラム・レコードからデビューし、73年に爽やかなファースト・アルバム『Ned Doheny First』を、76年にAOR屈指の名盤として知られる本作『Hard Candy』をリリースした。

海辺でシャワーのしぶきを浴びるジャケットからは "真夏のぎらつく太陽" 的なサウンドを想像するが、聴こえてくるのはアコースティックを基調とするソウルフルなサウンド。夏の終わり、陽の傾いた海岸で、穏やかな風に吹かれて涼む。そんな心地よさのある音楽だ。

全曲がNed Dohenyの作で、「A Love of Your Own」のみAverage White BandのHamish Stuartとの共作。どの曲にもソウルやジャズの香りが漂う。

ビターな「Get It Up for Love / 恋は幻」は多くのカヴァーが存在する名曲。David Cassidyの75年のアルバム『The Higher They Climb - The Harder They Fall』の他、Nigel Olssonの『Nigel Olsson』(75年)、The Mobの『The Mob』(75年)、Maxine Nightingaleの『Night Life』(77年)、Táta Vegaの『Try My Love』(78年)などのアルバムで歌われている。

「A Love of Your Own」も渋い曲。Average White Bandの同年のアルバム『』に収録された他、Melissa Manchesterの77年のアルバム『Singin'... / 雨と唄えば』や、Leslie Smithの92年のアルバム『』などでカヴァーされた。

Ned Dohenyの歌声には少年のような甘さがありながら、そこはかとない大人の陰りがある。この微妙なバランスが魅力で、どの曲もロマンティックに響く。特にラストの「Valentine」は秀逸。ジャジーなメロディを、David Fosterのピアノをバックに切なげに歌う。

フロント・カヴァーの写真はMoshe Brakha (モシャ・ブラカ)氏が撮った。Boz Scaggsの名盤『Silk Degrees』の艶っぽいジャケットを撮った写真家だ。バック・カヴァーでは水を豪快に浴びており、2014年に発売されたベスト盤『』のフロント・カヴァートには、これが採用された。
Ned Doheny / Hard Candy (バック・カヴァー)
2017年8月にはソニーの「AOR CITY 1000」シリーズから、79年のサード・アルバム『Prone』のCDも再発されており、こちらもお薦め。

●収録曲
1. Get It Up for Love / 恋は幻 - 4:44
2. If You Should Fall / 恋におちたら - 3:36
3. Each Time You Pray / 愛を求めて - 3:38
4. When Love Hangs in the Balance / 傷心の恋 - 5:12
5. A Love Of Your Own - 3:46
6. I've Got Your Number - 3:14
7. On The Swingshift - 3:03
8. Sing To Me / 歌っておくれ - 3:36
9. Valentine (I Was Wrong About You) - 5:06


◆プロデュース: Steve Cropper(g)

◆参加ミュージシャン: Ned Doheny(vo, g), David Foster/Craig Dorege(k), Brian Garofalo(b), Gary Mallaber(ds), Tower Of Power(horn), Glenn Frey/Don Henley/J.D. Souther/Linda Ronstadt/Hamish Stuart/Rosemary Butler(bv), etc


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2017/06/22 15:16 AOR名盤(1974~1976年) TB(0) CM(0)
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