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Warm Breeze

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Robert Kraft / Retro Active (1983年) - アルバム・レビュー

2020年05月24日
AOR名盤(1983年) 2
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Robert Kraftの1983年のアルバム『Retro Active / ラヴァーズ・メロディ』の紹介です。
Robert Kraft / Retro Active (1983年)
Robert Kraftはアメリカの作曲家であり音楽プロデューサー。名門のハーバード大学を卒業後、CMの作曲などの仕事をしながらバンド活動を始め、1979年にレコード・デビューをしている。作曲活動と並行して、80年代の終わりまでに5枚のアルバムを残し、音楽プロデューサーとしては映画俳優のBruce Willisのアルバムなどを制作。ビジネスの才覚もあって、92年には自らのレーベルを設立し、94年から2012年までFox MusicのCEOを務めたあと、2013年からはKraftbox Entertainmentという音楽プロダクションを経営している。

今日紹介する『Retro Active』はRobert Kraftの3作目。前2作をプロデュースしたのがFar CryのPhil Galdstonというのも興味深いが、本作ではLarry Carltonがプロデュースを担当している。CarltonがプロデュースしたAORの作品としては、Vapour Trailsの79年のアルバム『Vapour Trails』以来となる。

録音はハリウッドにCarltonが所有する「Room 335」スタジオで行われ、ギターもCarltonが自ら演奏。Robert KraftはSteely Danフリークらしく、Steely Danのアルバムではお馴染みのElliot Scheinerがエンジニアを担当している。参加ミュージシャンは豪華で、特にPages & Tom Kellyの気持ちのいいコーラスを聴ける曲が多い。

それでは、このアルバムからおすすめの4曲を紹介。

1曲目の「Single, Solo」は、Robert KraftとPhil Galdstonによる共作。Jeff Porcaro(ds)とAbraham Laboriel(b)のコンビネーションが生み出す軽やかで弾力のあるリズムが印象的で、その上をPagesのふんわりしたハーモニーが美しく映える。少しクセのあるCarltonのギターも気持ちいい。この曲は、前作の『』に収録されていた曲の再録だ。前作は所属していたレコード会社の閉鎖によってリリースを見送られ、84年に日本国内限定で発売されている。

The Manhattan TransferのJanis Siegelと共作した「You're Blue Too」は、哀愁味のあるメロディが魅力。Janis Siegelとのデュエットも実現し、このアルバムからのファースト・シングルになっている。Janisとは、次作の『』においても「Rubber Neckin'」という曲をデュエット。また、83年のThe Manhattan Transferのアルバム『』では、ジャズ・ピアニストのThelonious Monk(82年に他界)を追悼する「The Night That Monk Returned to Heaven」という曲をRobert Kraftが書いている。

続く「I Wonder What You're Like / 君はどんな女(ひと)」はCarol Hall - Carlton - Kraftによる共作。Pagesの透き通ったコーラスが "I Wonder, I Wonder …" というフレーズを優しく繰りだす美しいバラードだ。Jerry HeyのFlugelhornの響きもエレガント。この曲は、Marleneの84年のアルバム『』やMaureen McGovernの88年のアルバム『』でカヴァーされている。

「Out With My Ex / むかしの恋人」「What Price Glory? / 危険なくちづけ」「On The West Side」からは、Robert Kraftの "Steely Dan愛" が感じられる。このうち、「On The West Side」も前作の収録曲の再録。ホーンの使い方やCarltonのギターの音色がクールで、Jeff Porcaroのビートもセクシー。ジャジーで粋なナンバーになっている。

AORのアルバムでは割とよくあることだが、本作のフロント・カヴァーも日本盤では差し替えられていて、冒頭のオシャレな画像は日本盤のデザイン。オリジナルのデザイン(下の画像)と比べると格段にセンスがよくなっていて、差し替えが成功している。
Robert Kraft / Retro Active (オリジナル・カヴァー・アート)

●収録曲
1. Single, Solo - 3:32
2. Just Another Notch On The Bedpost / リトル・ゲーム - 3:15
3. Out With My Ex / むかしの恋人 - 4:10
4. You're Blue Too - 3:26
5. I Wonder What You're Like / 君はどんな女(ひと) - 3:35
6. Heartless - 3:27
7. What Price Glory? / 危険なくちづけ - 3:12
8. Teach Me How To Kiss You - 3:23
9. Can We Be In Love Again? / イン・ラヴ・アゲイン - 3:42
10. On The West Side - 4:09
11. Let's Hold Each Other Once More / もう一度抱きしめて - 3:25

◆プロデュース: Larry Carlton(g, b, k, per)

◆参加ミュージシャン: Robert Kraft(vo, k), Janis Siegel(vo), Michael Omartian/Terry Trotter/Don Freeman(k), Abraham Laboriel(b), Jeff Porcaro/Rick Marotta/Ed Greene/Alex Acuna(ds), Paulinho Da Costa(per), Jerry Hey(tp), Richard Page/Steve George/Tom Kelly(bv), etc

ところで、Robert Kraftは2013年にCD BOXセットの『Complete Kraft Box 1979-1989』を発売している。外箱の素材にクラフト紙を使っているように見えるのは、名前の "Kraft" にちなんでかな?。全世界で300セット限定とのことなので、全作品をまとめて揃えたい方はお早めに。

●BOXセットの内容
1. 『Mood Swing』(79年) ※Robert Kraft & The Ivory Coast名義
2. 『Ready To Bounce / カーネギー・ウギー』(84年) ※81年にレコーディングされお蔵入りになっていたが、84年に日本限定で発売
3. 『Retro Active / ラヴァーズ・メロディ』(83年)
4. 『Quake City』(89年)
5. 『Live At Town Hall』(80年)



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この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

コメント2件

コメントはまだありません

kent

最近初めてAORという世界を知り、Warm Breezeさんの名盤330選を参考に少しづつ聴いています。このアルバムも素晴らしかったです。本当に生きる糧になってます。ありがとうございます。

2020年05月29日 (金) 17:25
Warm Breeze

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Re: タイトルなし

kentさん、コメントありがとうございます。

参考にしていただけて、何よりです。アルバム単位で聴けて、さまざまなジャンルにクロスオーバーしてて、参加ミュージシャンの裾野が広くて、癒しや滋養のある曲が多い。私もこのジャンル(ジャングル?)にどっぷりハマりました。音楽っていいですね。

2020年05月29日 (金) 23:08