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Billy Joel / Turnstiles (1976年) - アルバム・レビュー

2019年12月29日
Rock / Pops名盤(70年代) 0
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Billy Joelの1976年のアルバム『Turnstiles / ニューヨーク物語』の紹介です。
Billy Joel / Turnstiles (ニューヨーク物語) (1976年)
Billy Joelはアメリカを代表するシンガー・ソングライターの一人。『Turnstiles / ニューヨーク物語』は4作目で、Billy Joel本人が "最も気に入っている" という作品。私も、Billyのアルバムから1枚を選ぶとすれば、これを選ぶかな。

Billy Joelは "自作して歌う" というシンガー・ソングライターの基本姿勢を貫いている。ほとんどのアルバムは "All tracks are written by Billy Joel." であり、カバー曲はなく、共作すらしない。全ての曲を自分一人で書き、自分で歌うという姿勢はとても爽やかで、リスペクトできる。ただし、これが貫かれるのは82年の『The Nylon Curtain』までで、83年の『An Innocent Man』あたりから怪しくなる。なので、『The Nylon Curtain』までが私の愛聴盤であり、中でもこの『ニューヨーク物語』は特別だ。

このアルバムは、邦題の通り、ニューヨークを題材にしている。Billy Joel自身もニューヨーク生まれだが、デビュー当時はロサンゼルスを活動拠点にしていて、デビュー作の『』(71年)から前作の『』(74年)まではロスで録音されている。本作は、久しぶりに生まれ故郷のニューヨークに戻って制作されたアルバムであり、Billy Joelが初めてセルフ・プロデュースした作品になる。

"turnstile" とは、駅や劇場の入り口にある回転式の改札口のこと。ジャケットには、地下鉄のturnstileにアルバムの登場人物が描かれている。ヘッドフォンで音楽を楽しむ女性(「All You Wanna Do Is Dance」)、遊び興じる裕福な男女(「I've Loved These Days」)、テキストを両手に抱えた真面目な学生(「James」)などだ。

「Say Goodbye To Hollywood」はロスを離れるときの思いを歌った曲。イントロはThe Ronettesの「Be My Baby」(63年, 米2位)にインスパイアされたもので、とてもキャッチー。この曲はファースト・シングルになったがヒットせず、後のライヴ・アルバム『Songs in the Attic』(81年)に収録されたライヴ・バージョンがヒットして、全米17位を記録した。

「Summer, Highland Falls」は清楚で美しいピアノのイントロが印象的な曲。Highland Fallsはニューヨーク州にある町。美しいメロディとは裏腹に、歌詞の内容はとても思索的だ。この曲も『Songs in the Attic』にライヴ・バージョンが収録されており、オリジナルに忠実にステージで再現しているところに感動する。

「New York State Of Mind / ニューヨークの想い」はこのアルバムのハイライト。後に Barbra Streisandの『』(77年)を始め、数多くのアーティストにカバーされているが、少しひしゃげた声で歌ってみせるBillyのバージョンが一番いい。Billy Joelはこの曲をRay Charlesに歌って欲しかったようだ。

もう一曲の、私にとってのハイライトが「James」。幼なじみの真面目な青年 "James" を歌った曲で、自分とは違う人生を歩む彼に「君は自分の人生を好きかい?」と問いかける。優しいメロディがとても切ない。柔らかい演奏は、Russell Javors(g), Doug Stegmeyer(b), Liberty DeVitto(ds), Richie Cannata(sax)などで、この後にBilly Joel Bandとしてレギュラーになる。

Stranger』より前の作品から選曲した名ライヴ・アルバム『Songs in the Attic』には、「I've Loved These Days」と「Miami 2017」も選ばれている。「Miami 2017」は近未来のニューヨークで起こる大破壊について歌ったSFソングだが、その2017年も過ぎてしまった。バンドの演奏と観客の熱狂が一体になるライヴ・バージョンは、鳥肌ものの格好良さだ。

●収録曲
1. Say Goodbye To Hollywood / さよならハリウッド - 4:36
2. Summer, Highland Falls / 夏、ハイランドフォールズにて - 3:15
3. All You Wanna Do Is Dance / 踊りたい - 3:40
4. New York State Of Mind / ニューヨークの想い - 5:58
5. James - 3:53
6. Prelude/Angry Young Man / 怒れる若者 - 5:17
7. I've Loved These Days / 楽しかった日々 - 4:31
8. Miami 2017 - 5:12


◆プロデュース: Billy Joel(vo, k)

◆参加ミュージシャン: Howie Emerson/Russell Javors/James Smith(g), Doug Stegmeyer(b), Liberty DeVitto(ds), Mingo Lewis(per), Richie Cannata(sax), Ken Ascher(orch ar)

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この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

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