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Jimmy Webb / Angel Heart (1982年) - アルバム・レビュー

2020年05月10日
AOR名盤(1982年) 2
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Jimmy Webbの1982年のアルバム『Angel Heart』の紹介です。
Jimmy Webb / Angel Heart (1982年)
Jimmy Webbは、アメリカのポピュラー・ミュージック界を代表するソングライターの一人。The 5th Dimension, Glen Campbell, Art Garfunkel, Richard Harrisを始めとするさまざまなアーティストにヒット曲を提供し、1986年にはソングライターの殿堂入りを果たしている。

グラミー賞に関しても、The 5th Dimensionの67年のヒット曲「Up, Up and Away」(米7位)が "Song of the Year" を受賞したり、The Highwaymenの85年の曲「Highwayman」(米カントリー・チャート1位)が "Best Country Song" を受賞するなど、3度の受賞歴がある。

シンガー・ソングライターとしては、これまでに10枚以上のアルバムを発表していて、この『Angel Heart』は7作目。Jimmy Webbが80年代に残した唯一のアルバムだ。

プロデュースを担当したのはMatthew McCauleyとFred Mollinの二人。この二人は本作よりも前に、Dan Hillの77年のアルバム『Longer Fuse / ふれあい』や、"英国のJimmy Webb" と呼ばれるGary Bensonの80年のアルバム『Moonlight Walking』を手がけている。

10曲の収録曲は、John Cooperの書いた「One Of The Few」を除いてJimmy Webbのオリジナル。Webbらしい落ち着いた味わいの静かな曲が多いが、カントリー・ロック調の「Work For A Dollar」や、Steve Lukatherがエネルギッシュにギターを弾く「His World」のような熱いロック・ナンバーもある。

参加ミュージシャンがとても豪華だ。ドラムスは全曲をJeff Porcaroが担当。エレキ・ギターはDean ParksやSteve Lukatherが、鍵盤はDavid FosterやDavid Paichが担当し、バック・ヴォーカルに至ってはGerry Beckley, Leah Kunkel, Michael McDonald, Graham Nash, Kenny Loggins, Valerie Carter, Daryl Hall, Stephen Bishopなどとなっている。

それまでのソングライター然としたアルバムを好む往年のファンや評論家からの受けは悪かったようだが、Webbのキャリアの中ではもっともAORらしい作品になり、金澤寿和氏の著書『AOR Light Mellow』でも紹介されている。

それでは、おすすめの4曲を紹介。

まずは、Art Garfunkelの前年のアルバム『Scissors Cut / 北風のラストレター』のタイトル曲になった「Scissors Cut」。大人の歌う静謐なラヴ・ソングといった趣きがあり、しみじみと感動する。Jimmy WebbはArt Garfunkelのような上手な歌い手ではないが、飾り気のない歌い方はかえって曲の良さを引き出している。哀感のあるギター・ソロはDean Parks。抑えた感じの渋いバック・ヴォーカルは、AmericaのGerry BeckleyとCSN&YのGraham Nashだ。

Artの『北風のラストレター』からはもう1曲、「In Cars」をセルフ・カヴァー。こちらも淑やかな美しいナンバーで、ゲスト・ヴォーカルとして参加したStephen Bishopの甘い歌声が曲をロマンティックにしている。曲の終わりはビーチ・ボーイズ風にアレンジされていて、プロデューサーのMatthew McCauley & Fred Mollinが見事なコーラスを披露。クレジットには "the beached boys" – Fred and Matt と書かれていてユーモアがある。

Art GarfunkelはJimmy Webbの作品を好んで歌っていて、78年のアルバム『Watermark』では、収録された12曲のうち実に10曲がWebbの作品だ。

「Our Movie」ではLeah Kunkelの清涼感溢れるバック・ヴォーカルがフィーチャされている。Art GarfunkelのアルバムでもLeah Kunkelの爽やかな歌声をよく聴くが、彼女の歌声が加わると曲の輝きが増す。

穏やかに哀愁を帯びた「One Of The Few」はJohn Cooperの作だが、まるでJimmy Webbの書いた曲のようにアルバムに馴染んでいる。バック・ヴォーカルはLeah KunkelとMichael McDonaldが担当し、とても贅沢な聴き心地。ギター・ソロも間奏をDean Parks、エンディングをSteve Lukatherが弾き分けている。

前作の『El Mirage』に続いて、写真家でありミュージシャンでもあるHenry Diltzがフロント・カヴァーを撮影した。美しい女性がWebbにしなだれるというWebbらしからぬ写真がなかなかいい。

●収録曲
1. Angel Heart - 3:23
2. God's Gift - 3:51
3. One Of The Few - 4:27
4. Scissors Cut - 4:41
5. Work For A Dollar - 5:32
6. His World - 4:33
7. Our Movie - 3:51
8. Nasty Love - 4:26
9. In Cars - 3:33
10. Old Wing Mouth - 3:48


◆プロデュース: Matthew McCauley(k, bv), Fred Mollin(ag, per, bv)

◆参加ミュージシャン: Jimmy Webb(vo, k), Stephen Bishop(vo), Steve Lukather/Fred Tackett/Dean Parks(g), David Foster/David Paich(k), Lee Sklar/Bob Gloub(b), Jeff Porcaro(ds), Victor Feldman(per), Jerry Hey(tp), Gerry Beckley/Graham Nash/Leah Kunkel/Michael McDonald/Kenny Loggins/Daryl Hall/Valerie Carter(bv), etc


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この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

コメント2件

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240

また来ました。

こんばんは。またお気に入りの1枚だったので、遊びに来ました。
本作は昨年のAOR1000円シリーズとして発表されたときに購入しました。「Scissors Cut」と「In Cars」。ガーファンクルの名唄の通り、美しい曲ですよね。In Carsのエンディングは間違いなくペットサウンズの音作りを意識してますね。そっくりです。
あと仰る通り「His World」での強烈なシャッフルビート。これはジェフ・ポーカロと分かるドラミングですね。
こちらも名盤!

2017年05月21日 (日) 19:20

Warm Breeze

Re: また来ました。

240さん、こんばんは。

いつもありがとうございます。240さんもこのアルバムの記事を書いていたのですね。拝見しました。
私も「In Cars」の方が好みです。エンディングのバック・ヴォーカルは確かに "the beached boys" - Fred and Matt とクレジットされてますね。プロデューサー二人の遊び心が表れていて、ほっこりします。

2017年05月21日 (日) 19:46