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TOTO / Hydra (1979年) - アルバム・レビュー

2019年10月06日
Rock / Pops名盤(70年代) 2
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、TOTOの1979年のアルバム『Hydra』の紹介です。
TOTO / Hydra
TOTOはロサンゼルスを中心に活動していたプロのセッション・ミュージシャンたちが作ったロック・バンド。1977年にバンドを結成した時のメンバーは、David Paich(k), Jeff Porcaro(ds), Jeffの弟のSteve Porcaro(k), Steve Lukather(g), David Hungate(b), Bobby Kimball(vo)の6人で、HungateとKimballを除く4人は少年の頃からの顔なじみだった。

彼らがバンドを組んだのは、Boz Scaggsの76年のアルバム『Silk Degrees』のレコーディングにPaich, Jeff, Hungateの3人が集まったことがきっかけとされている。そこに、Lukather, Steve, Kimballが加わってTOTOがスタートした。

78年のデビュー・アルバム『宇宙の騎士』は、ロック、ソウル、フュージョンなどの要素がバランス良くクロスオーバーした傑作。多彩なサウンドは、メンバーたちが様々なジャンルのセッションをサポートしてきた賜物だ。全米チャートの5位を記録したロック・ナンバーの「Hold The Line」や、後に多くのカバーを生むR&Bナンバーの「Georgy Porgy」などを収録し、セールス面でも手ごたえのある結果を残している。

この『Hydra』はセカンド・アルバム。前作とは趣を変え、ロック・バンドらしいアルバムになっている。私の持っているCDのライナー・ノーツには、「コレゾ、真にボクらのベーシックな音!」という彼らのコメントが紹介されている。自分たちは世間で言われているような「セッション・プレイヤーの一時的な集まり」ではなく、「ロック・バンドが本業で、セッション・プレイヤーは副業だよ」ということか。

収録曲の半分、「Hydra」「St. George and the Dragon」「All Us Boys」「White Sister」の4曲は、熱い演奏を繰り広げるロック・ナンバーで、ロック色が強いのがこのアルバムの特徴。残り半分は美しいバラードの「99」「A Secret Love」、ポップな「Lorraine」、ソウル・タイプの「Mama」となっている。

特にタイトル曲の「Hydra」は格調高い曲で、美しい構成とドラマティックな演奏はプログレッシヴ・ロック的。演奏はかなりヘヴィーで、Jeff Porcaroのドラムスにも凄みがある。この曲はメンバー全員による共作だ。それ以外の曲については、ほとんどをPaichが書いているが、ラストの「A Secret Love」はSteve主体。また、Kimballも3曲(6-8)で共作者になっている。

続く「St. George and the Dragon」のサウンドも重量級。イントロは躍動感のあるピアノの連打とタイトなJeffのドラムスで始まり、そこから怒涛の演奏へとなだれ込んでいく。熱いエネルギーを放出しながらも、しっかりと統制されているTOTOの演奏の醍醐味を味わえる。

「99」はLukatherのロマンティックな歌声を聴ける名バラードで、本作からのファースト・シングルとなり、全米チャートの26位をマーク。Lukatherの得意そうなメロディだが、Paichの作である。「A Secret Love」も繊細なバラードで、リード・ヴォーカルを担当したKimballの歌声が美しく、Lukather以上にロマンティック。

リード・ヴォーカルに関しては、Paichが3曲(1, 4-5)、Kimballが4曲(2, 6-8)、Lukatherが1曲(3)を担当している。驚くことに、全ての曲でヴォーカル以外は一発録りらしく、それがライヴ感のあるスリリングな音に表れている。ロック・バンドとしてのTOTOの魅力と、プロの演奏家としての実力を見せつける名作。

●収録曲
1. Hydra - 7:31
2. St. George and the Dragon - 4:45
3. 99 - 5:16
4. Lorraine - 4:46
5. All Us Boys - 5:03
6. Mama - 5:14
7. White Sister - 5:39
8. A Secret Love - 3:07


◆プロデュース: Tom Knox, Reggie Fisher, TOTO

◆参加ミュージシャン: Bobby Kimball(vo), Steve Lukather(g, vo), David Paich(k, vo), David Hungate(b), Jeff Porcaro(ds, per), Steve Porcaro(k)
with Michael Boddicker(k), Roger Linn(sy), Lenny Castro(per), Marty Paich(string ar)

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この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

コメント2件

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Rooster.Cogburn

Warm Breezeさん、こんにちは。

当時凄い2作目が出たと思いました。

1曲目のHydraを聴いただけで、デビュー作にあった親しみやすさが減って、少しハードで難しくなっていましたが、プログレっぽくて「これは面白いぞ」と思ったものです。最後まで聴いてみると、1枚目よりロックしているが、ポップな部分も残っていて、コンセプトアルバム風なところもあり、この多彩さに一層惚れ込んだ気がします。

翌年行われた初来日公演(私は行ってません)も大変な評判で、TOTO人気も大変盛り上がってました。唯一残念なのは、当時のスティーブ・ルカサーのギターに対する評論の中で「コレステロールの溜まった音」というのがあって、それだけは残念な気がしました。(当時、太りつつあったので見かけはその通りでしたが)

2020年04月12日 (日) 15:31
Warm Breeze

Warm Breeze

Re: タイトルなし

Rooster.Cogburnさん、コメントありがとうございます。

"コレステロールの溜まった" は面白い表現ですね。笑ってしまいました。脂の乗った、エネルギッシュな、というニュアンスでしょうか。言い得て妙な気もしますが。"情熱溢れる" くらいの表現がいいかもですね~。

2020年04月12日 (日) 19:25