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Warm Breeze

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Al Jarreau / Breakin' Away (1981年) - アルバム・レビュー

2020年02月08日
AOR名盤(1981年) 8
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Al Jarreauの1981年のアルバム『Breakin' Away』の紹介です。
Al Jarreau / Breakin' Away (1981年)
Al Jarreauは、卓越したヴォーカル・テクニックを持つアメリカのジャズ・シンガー。ソフトで軽やかな歌声と、高度なスキャットやヴォーカル・パーカッションを自在に繰り出すスタイルで人気を集め、ジャズとポップの両方のジャンルをまたいで活躍した。

この『Breakin' Away』は5枚目のスタジオ・アルバム。80年代に入ってから発表された『This Time』(80年), 本作(81年), 『Jarreau』(83年), 『High Crime』(84年)の4枚はJay Graydonのプロデュース作品であり、Graydonの緻密な仕事によって美しく磨かれたサウンドになっている。

本作の収録曲は9曲で、オリジナルが7曲(1-7)、カヴァーが2曲(8, 9)という構成。オリジナル曲については、Tom Canning - Jay Graydon - Al Jarreauの共作が5曲(1, 4, 5-7)、Pagesの書いたナンバーが1曲(2)、Roger Murrah - Keith Stegalの共作が1曲(3)となっている。

カヴァー曲はいずれもジャズ・スタンダード。「Blue Rondo à la Turk」はDave Brubeckの作品で、Dave Brubeck Quartetの59年のアルバム『』の収録曲。もう1曲の「Teach Me Tonight」はSammy Cahn - Gene De Paulの共作で、多くのシンガーに歌われたポピュラー・ソングだ。こちらは、今年(2020年)2月に発売されるJames Taylorの最新作『』にも収録されている。

ここから、おすすめの4曲を紹介。

1曲目の「Closer to Your Love」は、軽快に刻まれるビートに乗ってAl Jarreauが滑らかに歌う気持ちのいいナンバー。堅実な演奏のバック・ミュージシャンは、Steve Gadd(ds), Abraham Laboriel(b), Jay Graydon(g), Tom Canning(k)という顔ぶれで、Tom Scottのホーンもご機嫌だ。

「We're in This Love Together / 奏でる愛」は本作からのファースト・シングル。Billboard Hot 100チャートの15位を記録し、Al Jarreauのキャリア最大のヒットになった。ポップなメロディと軽やかに弾むリズムは後のヒット曲の「Mornin'」を思わせる。作者の一人のKeith Stegallによると、この曲はもともとLarsen-Feiten Bandの80年のアルバム『Larsen-Feiten Band』のために書かれたものらしい。

タイトル曲の「Breakin' Away」は、Jeff Porcaroらしい繊細なシャッフルを聴けるナンバー。バック・ミュージシャンは、Jeff Porcaro(ds), Neil Stubenhaus(b), Jay Graydon(g), David Foster(k), Jerry Hey(horns)というお馴染みの顔ぶれ。Jeff Porcaroはこの1曲のみの参加で、他の曲ではSteve Gaddがドラムスを担当している。

他にも、Pagesの二人とAl Jarreauのハーモニーが美しい「My Old Friend / 心の友へ」や、甘美なバラードの「Our Love」など、AORタイプの洗練されたナンバーを揃えている。

また、「Easy」「Roof Garden」「Blue Rondo à la Turk」の3曲では、Al Jarreauの得意とするスキャットやヴォーカル・パーカッションが披露される。特に「Blue Rondo à la Turk」での見事なテクニックは、82年のグラミー賞において「Best Jazz Vocal Performance, Male」を受賞したほど。アルバム自体も「Best Pop Vocal Performance, Male」に輝いた。

Jay Graydonのプロデュース作品に外れはないが、このアルバムはその中でも最高レベル。プロデューサーとアーティスト、そして参加ミュージシャンの技量が相乗効果を生んだ快作になっている。

●収録曲
1. Closer to Your Love - 3:54
2. My Old Friend / 心の友へ - 4:26
3. We're in This Love Together / 奏でる愛 - 3:44
4. Easy / 愛は世界をめぐり - 5:23
5. Our Love / 明日に漂う - 3:53
6. Breakin' Away - 4:12
7. Roof Garden - 6:19
8. (Round, Round, Round) Blue Rondo à la Turk / トルコ風ブルー・ロンド - 4:44
9. Teach Me Tonight / 今夜教えて - 4:13


◆プロデュース: Jay Graydon(g, sy)

◆参加ミュージシャン: Steve Lukather/Dean Parks(g), David Foster/Michael Omartian/George Duke/Tom Canning/Larry Williams/(k), Michael Boddicker/Peter Robinson(sy), Abraham Laboriel/Neil Stubenhaus(b), Steve Gadd/Jeff Porcaro(ds), Tom Scott/Lon Price(sax), Jerry Hey(tp), Richard Page/Steve George/Bill Champlin(bv), etc


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Warm Breeze
この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

コメント8件

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ローリングウエスト

アルジャロウはBGM的にはよく聴いたのですが、掘り下げて聴きこんだことがないので今度勉強してみます!

2017年05月01日 (月) 11:12

Warm Breeze

Re: タイトルなし

RWさん、こんにちは。

アルジャロウはBGMには最適ですね。ドライヴにも合うと思いますよ。70年代のアルバムだと、1976年の『Glow』がお薦めです。
RWさんの今回の「My Favorite Songs」の記事は、J ガイルズ・バンドの「堕ちた天使」ですね。拝見します。

2017年05月01日 (月) 18:59

ギターマジシャン

アル・ジャロウ

アル・ジャロウは、楽器の音を真似て歌うとか、スキャットのような歌い方で気持ち悪いだとか、友人たちからの評判を聞いて、きわものみたいに捉えて聴かなかったのですが、ラリー・カールトンやロベン・フォード、バジイ・フェイトンが参加したモントルーライブ盤を買ったら、そんなことはなくて、自分の耳で判断しないとダメだなあと実感した思い出があります。

それでも、ヴォーカリストであり楽器奏者ではないので、アルバムを買うことはなかったですが、最近、図書館でいくつか借りて、ただ、このアルバムやその前後の名盤が蔵書にないのが残念です。

2020年02月09日 (日) 09:48
Warm Breeze

Warm Breeze

Re: アル・ジャロウ

ギターマジシャンさん、コメントありがとうございます。

"ラリー・カールトンやロベン・フォード、バジイ・フェイトンが参加したモントルーライブ盤" は、たぶん81年のライヴ・アルバム『Casino Lights』ですかね。この時のモントルーのジャズ・フェスにはアル・ジャロウも参加していて、ランディ・クロフォードと一緒に3曲を歌ってます。素晴らしいライヴで、私もCDを持ってます。

ヴォーカル・パーカッションのような技術も凄いですが、バンドの演奏で普通に歌っている曲がとてもいいですね。Jay Graydonプロデュースの最初の3枚はどれも素晴らしいので、図書館にも是非置いてほしいと思います。

2020年02月09日 (日) 11:44

うさこ

こんにちは

アルジャロウは私の中で大好きなヴォーカリストのひとりです!
と言いつつ、アルバムはハーツホライズン以降のものを何枚か持っているだけでして、(「ジャロウ」はこの間購入(^_^))、こちらはまだ聴いてませんでした。
相変わらす豪華な演奏陣ですよね~♪

2020年02月11日 (火) 11:41
Warm Breeze

Warm Breeze

Re: こんにちは

うさこさん、コメントありがとうございます。

私はデビュー作から『ジャロウ』あたりまでを中心に聴いてきましたが、ハーツホライズン以降だと、Marcus Millerがプロデュースした『Tenderness』のCDを持っています。Elton Johnの「Your Song」やThe Beatlesの「She's Leaving Home」もカバーしていて、いい感じです。ボーカル技術も凄いですが、シンガーとして魅力がありますね。

2020年02月11日 (火) 17:29

もくもく男

ジャロウ

ジャロウの訃報が流れてきたときには本当に悲しかったです。もう7−8年くらい前、ビルボード大阪でG.Dukeとジャロウの共演を観ました。そのとき、ジャロウは結構ヨタヨタでヤバイかなと思ってたのですが、元気いっぱいだったデュークが先に逝ってしまいました。とにかく大学生時代から本当によく聴きました。このアルバムもL Is For Lover、Jarreau、This Time。。。色々思い出が蘇ります。

2020年02月16日 (日) 21:20
Warm Breeze

Warm Breeze

Re: ジャロウ

もくもく男さん、コメントありがとうございます。

Al Jarreau and the George Duke Trioの2012年のライヴですかね。You Tubeにも、ビルボード大阪ではないですがその頃のライヴ映像があって、二人とも元気そうにステージを楽しんでいますね。この二人は付き合いが長いですから、今頃は天国で楽しく演っているのでしょうね。

2020年02月16日 (日) 23:37