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Warm Breeze

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David Lasley / Missin' Twenty Grand (1982年) - アルバム・レビュー

2019年06月16日
AOR名盤(1982年) 2
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、David Lasleyの1982年のアルバム『Missin' Twenty Grand / 風のファルセット』の紹介です。
David Lasley / Missin' Twenty Grand (風のファルセット) (1982年)
David Lasleyは、モータウン・レコードのあるデトロイト育ちのファルセット歌手。セッション・シンガーとして様々なアーティストのアルバムに参加し、Smokey RobinsonやBee GeesのBarry Gibbを思わせる美しいファルセットで貢献している。特にJames Taylorとの仕事は長く、1979年の『』以降のアルバムのレギュラー・メンバーだ。Lasleyは優秀なソングライターでもあり、Boz Scaggsの80年のヒット曲「Jojo」(アルバム『Middle Man』に収録)の共作者としても知られている。

この『Missin' Twenty Grand』はセカンド・アルバム。LasleyがWillie Wilcox, Bill Schnee, Joe Wissert等と共同でプロデュースした作品だ。Willie Wilcoxは、Todd Rundgren率いるUtopiaのドラマーで、本作でも全曲のドラムスを担当。Bill SchneeはBoz Scaggsの『Middle Man』のプロデューサーであり、Joe WissertもBozの『Silk Degrees』(76年)と『Down Two Then Left』(77年)をプロデュースしている。

収録曲のうち、Lasleyの手がけた曲は7曲で、残り(2, 3, 5, 10)は他作になっている。1曲目の「Got To Find Love」は洗練されたブルー・アイド・ソウルで、「JoJo」のような哀愁漂うメロディが魅力。Lasley, Arnold McCuller, James Taylorという豪華な3人がバック・ヴォーカルを担当し、特にJames Taylorの温かい歌声が曲に落ち着きを与えている。

続く「If I Had My Wish Tonight」は、Kenny LogginsのいとこにあたるDavid LogginsとRandy Goodrumの共作。ソウル・フィーリングのあるマイルドで爽やかなAORナンバーで、シングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの36位をマークした。

静かなアコースティック・ナンバーの「Looking For Love On Broadway」は、James Taylorの77年のアルバム『JT』からのカヴァー。どのような縁かは分からないが、喜多嶋 修氏がギターを弾いている。なお、9曲目の「Where Is Charlie And Joanne」でも喜多嶋氏がアコースティック・ギターを担当した。

他作の残りの曲のうち、ジャズ・ヴォーカル風に歌う「Take A Look」はClyde Otisによって55年に書かれたポピュラー・ソングで、Aretha Franklinの67年のアルバムのタイトル曲にもなっている。洒落たR&Bナンバーの「Take The Money And Run」は、Don Paul Yowellの作。

他には、ドゥーワップ調の「On Third Street」やレゲエの「Roommate」(The WhoのPete Townshendがギターを弾いている)など、多彩な曲を収録。Lasleyはこれら全てをファルセットのみで気持ちよく歌っている。

タイトルの "The 20 Grand" はデトロイトにある伝説のナイト・クラブ。10代半ばで白人のLasleyは、黒人客の集うその店で、モータウンのスターたちの前座をこなして実力を磨いたようだ。このアルバムには、育ちの街に溢れていた黒人音楽に対するLasleyの愛が "Missin'" というフレーズに表れている。バック・カヴァーに記されたポエムが素敵です。

This record is dedicated to the children of the world with hope that in my lifetime we may all know a world that does not perceive a boy or girl, a man or a woman by the color of their skin.
(僕の生きている間に肌の色で人を判断することのない世界を見ることができるかもしれないという希望をこめて、世界中の子供に捧ぐ)

●収録曲
1. Got To Find Love - 3:43
2. If I Had My Wish Tonight - 3:29
3. Looking For Love On Broadway - 2:38
4. On Third Street - 4:16
5. Take A Look - 3:58
6. Treat Willie Good - 3:40
7. Never Say - 4:12
8. Roommate - 4:27
9. Where Is Charlie And Joanne - 4:41
10. Take The Money And Run - 4:02
11. On Third Street - Reprise - 0:34


◆プロデュース: David Lasley(vo), Willie Wilcox(ds), Bill Schnee, Dave Iveland, Joe Wissert

◆参加ミュージシャン: Pete Townshend/Marty Walsh/Osamu Kitajima(g), David Benoit(k), Bobby Watson(b), David Garibaldi(per), Joel Peskin/Ernie Watts(sax), Jerry Hey(tp), James Taylor/Arnold McCuller/Bonnie Raitt/Luther Vandross(bv), Nick DeCaro/Arif Mardin(strings ar), etc


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Warm Breeze
この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

コメント2件

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ローリングウエスト

当時のAOR系のアルバムは風の表題が多かったかも!クリストファークロス「風立ちぬ」もそうですね。小生の場合は1970年前後が一番洋楽に嵌っていたのでアルバートハモンド「風のララバイ」、バッドフィンガー「明日の風」、ピンクフロイド「吹けよ風、呼べよ嵐」です。1世代古いですね。(笑)

2016年11月10日 (木) 21:51

Warm Breeze

風が付く邦題

なるほど、いろいろありますね。
バッドフィンガーの「明日の風」は知りませんでした。
AOR系では、アレッシーの『Long Time Friends / そよ風にくちづけ』というアルバムもありましたね。

2016年11月11日 (金) 10:43