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Warm Breeze

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Barry Manilow / Summer Of '78 (1996年) - アルバム・レビュー

2020年06月07日
AOR名盤(1991年~) 2
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Barry Manilowの1996年のアルバム『Summer Of '78』の紹介です。
Barry Manilow / Summer Of' 78 (1996年)
Barry ManilowはNY生まれのシンガー・ソングライター。Frank Sinatraの後継者と言われた天与のテナー・ヴォイスとジュリアード音楽院卒の作曲能力を生かして、多くのヒット曲とヒット・アルバムを生んでいる。

90年代以降のBarryは、ソングライターとしてオリジナルの曲を作るよりもシンガーとして他作の曲を歌うことに注力していて、96年に発表されたこの『Summer Of '78』もポピュラー・ヒット・ソングの素晴らしいカヴァー曲集になっている。

アルバムのプロデュースはMichael Omartianとの共同で実施された。Michael Omartianとの仕事はこの1枚のみ。70年代のヒット曲を中心に、バラード系の爽やかな曲が選ばれており、Barry Manilowの選曲の妙を味わうことができる。なお、1曲目の「Summer of '78」だけは書き下ろしで、Barryが作曲を、長年の相棒のBruce Sussmanが作詞を手がけた。

各曲を最初に歌ったアーティストとその収録アルバムは次のとおり。
「Interlude: Love's Theme」(Barry White, 73年, 米1位):『』収録
「Reminiscing」(Little River Band, 78年, 米3位):『』収録
「I Go Crazy」(Paul Davis, 77年, 米7位):『Singer of Songs: Teller of Tales』収録
「When I Need You」(Leo Sayer, 77年, 米1位):『』収録
「The Air That I Breathe」(Albert Hammond):『』収録
「Bluer Than Blue」(Michael Johnson, 78年, 米12位):『The Michael Johnson Album』収録
「We've Got Tonite」(Bob Seger, 78年, 米13位):『』収録
「I'd Really Love to See You Tonight」(England Dan & John Ford Coley, 76年, 米2位):『』収録
「Sometimes When We Touch」(Dan Hill, 77年, 米3位):『Longer Fuse』収録
「Never My Love」(The Association, 67年, 米2位):『』収録
「Just Remember I Love You」(Firefall, 77年, 米11位):『』収録

これらはBarry Manilowのフェイバリット・ソングとのこと。78年の夏にBarryは35歳なので、その年齢でのフェイバリットということで、落ち着いた選曲になっている。全米1位になった大ヒット曲もあるが、どちらかというと控え目な印象。個人的にフィーリングの合う曲や、78年夏の特別な記憶と結びついている曲を選んだのだろう。

ちなみに、Albert Hammondの「The Air That I Breathe」に関しては、74年にThe Holliesが歌って全米6位のヒットになっているので、Barryが78年の夏に聴いていたのはThe Holliesのバージョンかも知れない。

この中から、Barry Manilowの歌で聴くとしみじみといいなぁ…と思える3曲をピック・アップ。

まずは、Paul Davisを代表するバラードの名品「I Go Crazy」。全米チャートの7位になるヒットを記録し、日本では81年の映画『なんとなく、クリスタル』(原作:田中康夫)の主題曲になっている。原曲ではキーボードの美しいフレーズが印象的に使われているが、このバージョンにはない。代わりに、美しいメロディの余韻がその隙間を見事に埋めている。

2曲目は、The Associationの67年のヒット曲「Never My Love」。曲を書いたのはThe Addrisi Brothersで、Addrisi兄弟も72年のデビュー・アルバム『』で歌ったほか、77年にシングル・カットもしている(全米チャートの80位に到達)。Barry Manilowの記憶に残っているのは、Addrisi兄弟のバージョンだろうか。

アルバムのラストに選ばれたのは、Firefallの77年の名曲「Just Remember I Love You」。Firefallのリード・シンガーであるRick Robertsの書いた渋い曲で、"辛くなったら私が愛していることを思い出して。そうすれば大丈夫。" という温かい詞の世界は、Carole Kingの「You've Got A Friend」にも似ている。爽やかなウェスト・コースト・サウンドの原曲をバラード調にアレンジしており、なかなか感動的。

78年の夏に自分はまだ洋楽を聴いていなかったが、数年後にはラジオから流れる洋楽ヒットに夢中になった。その中にはこのアルバムに収録されている曲も何曲かある。まるでCarpentersの「Yesterday Once More」のような甘酸っぱい気分がよみがえる、いいアルバムだ。

●収録曲
1. Summer of '78 - 1:48
2. Interlude: Love's Theme / 愛のテーマ - 0:25
3. Reminiscing / 追憶の甘い日々 - 3:45
4. I Go Crazy - 4:09
5. When I Need You / はるかなる想い - 4:02
6. The Air That I Breathe / 安らぎの世界へ - 3:43
7. Bluer Than Blue - 2:58
8. We've Got Tonite / 愛・ひととき - 4:39
9. I'd Really Love to See You Tonight / 秋風の恋 - 3:18
10. Sometimes When We Touch - 4:11
11. Never My Love / かなわぬ恋 - 2:58
12. Just Remember I Love You / 切ない想い - 3:03


◆プロデュース: Barry Manilow(vo, k, sy), Michael Omartian(k, sy)

◆参加ミュージシャン: Jimmie Lee Sloas(b), Paul Leim(ds), Dann Huff(g), Biff Watson(ag), Eric Darken(per), Marty McCall(bv), etc


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この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

コメント2件

コメントはまだありません

Rooster.Cogburn

少し物足りなくて

最近までこの作品を知りませんでした。
AC作品として悪くはないけど、タイトルから制作時期を勘違いして期待しすぎたかも。

"Let's Hang On"の様な明るく能天気なオリジナル曲が聞きたかった。毎度物足りなくなるので、続けて"Ultimate Manilow"を聴いてます。それでも足りなければ、"If I Should Love Again"も。

この作品なら2曲目"Interlude:Love's Theme"が一番かな。イントロだけで次に行ってしまうのが残念。

2020年06月10日 (水) 11:11
Warm Breeze

Warm Breeze

Re: 少し物足りなくて

Rooster.Cogburnさん、コメントありがとうございます。

このアルバム、確かにBarry Manilowの全盛期の作品群とは趣きが異なりますね。いわゆる "バリー節" を聴けないというか…。そう言えば、78年というとBarryが一番売れていた時期になりますね。

「Interlude: Love's Theme ~ Reminiscing」の流れはとても爽やかですね。この2曲を繋げたところはナイスだと思います。

2020年06月11日 (木) 00:11