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Steely Dan / The Royal Scam (幻想の摩天楼) (1976年) - アルバム・レビュー

2019年02月25日
AOR名盤(1974~1976年) 0
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Steely Danの1976年のアルバム『The Royal Scam / 幻想の摩天楼』の紹介です。
Steely Dan / Royal Scam (幻想の摩天楼) (1976年)
Steely Danは、Donald Fagen(vo, k)とWalter Becker(g)を中心とするグループ。1972年の結成時には6人のメンバーがいたが、前作『Katy Lied』(75年)からはFagenとBeckerのユニットになり、代わりに腕のいいスタジオ・ミュージシャンを起用するレコーディング・スタイルに移行している。

この『Royal Scam』は5枚目のスタジオ・アルバム。前作までは穏やかなアメリカン・ポップスと呼べる作風だったが、本作では緊張感のあるクールな楽曲が多い。それは、ベンチに眠るホームレスの夢を描いたカヴァー・アートにも表れていて、夢の中では、猛獣と化した摩天楼が不吉な空の下で牙を剥いている。

前作ではJeff Porcaroがほとんどの曲でドラムスを担当したが、本作ではBernard Purdieがほとんどを担当し、Chuck Rainey(b)とのコンビで重たくも躍動感のあるビートを生みだしている。二人の生み出すグルーヴにLarry Carltonのギターがスリリングに絡んでいく「Kid Charlemagne」など、演奏面で印象に残る曲が多い。

ギタリストの顔ぶれが多彩で、曲によってソロイストを変えており、Larry Carltonが4曲(1, 3, 8, 9)、Elliott Randallが2曲(4, 6)、Dennis Diasが1曲(6)、Beckerが1曲(5)、Dean Parksが1曲(7)でソロを担当した。特に、DiasとRandall(、Carltonも?)がソロを弾いた「Green Earrings」は、本作のハイライトの一つ。フュージョン風に味付けされたクールな曲だが、Randallのソロが曲のフェード・アウトにかけてぐにゃっと変化するところがシュール。

本作からは、「Kid Charlemagne / 滅びゆく英雄」(米82位)、「The Fez / トルコ帽もないのに」(米59位)、「Haitian Divorce / ハイチ式離婚」(英17位)の3曲がシングル・カットされた。「Haitian Divorce」はレゲエ調の大らかなリズムが特徴で、トーク・ボックスが印象的に使われている。2015年の米ギター誌Guitar Worldの選ぶ「The Top 10 Talk Box Moments in Rock」では6位にランク・インしており、Bon Joviの「Livin' on a Prayer」よりも上。

ラストのタイトル曲では、再びCarltonがソロを担当。曲調もCarltonのギターも重々しい。秀逸なカヴァー・アートを担当したのは "Zox" というチームで、彼らのサイトを見ると、30作ほどのアルバム・カヴァーを手がけていることが分かるが、この『The Royal Scam』の奇妙さが異彩を放っている。

●収録曲
1. Kid Charlemagne / 滅びゆく英雄 - 4:38
2. The Caves Of Altamira / アルタミラの洞窟の警告 - 3:33
3. Don't Take Me Alive / 最後の無法者 - 4:18
4. Sign In Stranger / 狂った町 - 4:22
5. The Fez / トルコ帽もないのに - 3:59
6. Green Earrings / 緑のイヤリング - 4:05
7. Haitian Divorce / ハイチ式離婚 - 5:30
8. Everything You Did / 裏切りの売女 - 3:54
9. The Royal Scam / 幻想の摩天楼 - 6:31


◆プロデュース: Gary Katz

◆参加ミュージシャン: Donald Fagen(vo, k), Walter Becker(g, b)
with Larry Carlton/Dennis Dias/Dean Parks/Elliot Randall(g), Victor Feldman(k, per), Paul Griffin/Don Drolnick(k), Chuck Rainey(b), Bernard Purdie/Rick Marotta(ds), Gary Coleman(per), Jim Horn/Plas Johnson/John Klemmer(horns), Michael McDonald/Timothy Schmit(bv), etc


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この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

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