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Art Garfunkel / Scissors Cut (1981年) - アルバム・レビュー

2019年12月08日
AOR名盤(1981年) 2
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Art Garfunkelの1981年のアルバム『Scissors Cut / 北風のラストレター』の紹介です。
Art Garfunkel / Scissors Cut (北風のラストレター) (1981年)
Art GarfunkelはNY生まれのシンガー。幼なじみのPaul Simonと1964年にフォーク・ロック・デュオのSimon & Garfunkelを組んでヒット・チャートを席捲し、70年代に入るとソロに転向して、高音の美しいテナー・ヴォイスを生かしたアルバム作りを行うかたわら、俳優としても活動している。

この『Scissors Cut』はArt Garfunkelの5枚目のソロ・アルバム。日本でのファースト・シングルになった「Hang On In / 北風のラストレター」はアップ・テンポのナンバーだが、それ以外は穏やかで静かな曲で構成された美しい作品。

タイトル曲の「Scissors Cut」はJimmy Webbの書いた名曲。サビの "Scissors cut, paper covers rock / Breaks the shining scissors" では、傷つけあう男女の関係を際限のないじゃんけん遊びに例えている。穏やかながら凛とした曲調と、Larry Knechtel(k), Andrew Gold/Dean Parks(g), Leah Kunkel(bv), Teo Macero(conductor)等による情感をたたえた演奏が感動的で、特にTeo Macero(テオ・マセロ)の指揮するストリングスの美しさや、Leah Kunkelの清涼感のあるバック・ヴォーカルが印象に残る。

「A Heart In New York」は生まれ故郷のニューヨークを歌った曲。街の音を効果的に取り入れたサウンドからは、ニューヨークという都会の喧騒や、希望と緊張が入り混じったような独特の空気が伝わってくる。終始繰り返されるアコースティック・ギターは作者の一人のGraham Lyleの演奏だろうか。凛々しいサックス・ソロはMichael Brecker。この曲はアメリカでのファースト・シングルになり、Billboard Hot 100チャートの66位をマークしている。

「Can't Turn My Heart Away」と「The Romance」はEric Kazの書いたロマンティックなナンバー。このアルバムは、アメリカ盤とUK/日本盤では曲目が異なっていて、「The Romance」はUK/日本盤のみの収録。アメリカ盤では、代わりに前作『』から「Bright Eyes」が選曲されている。「The Romance」でのArt Garfunkelの歌声はとても繊細で、靄の中から聴こえてくるように神秘的。本作の中でもひと際美しい。

続く「In Cars」もJimmy Webbの書いた胸を打つように美しいナンバー。Paul Simonがバック・ヴォーカルで参加し、曲の終わりには "Led me to one place there / She once was a true love of mine" と歌われ、Simon & Garfunkelの「Scarborough Fair」のフレーズを思い出させる。

ラストの「That's All I've Got To Say」もJimmy Webbの作で、81年の映画『』の主題曲になっている。「Scissors Cut」と「In Cars」の2曲は、Jimmy Webbの翌年のアルバム『Angel Heart』にも収録された。

バック・カヴァーに写る美しい女性はArt Garfunkelの恋人だったLaurie Birdで、クレジットの最後には "and is dedicated to you, Bird" と記されている。
Art Garfunkel / Scissors Cut (バック・カヴァー) (1981年)
女優であり写真家のLaurieは、Art Garfunkelの78年のアルバム『Watermark』のフロント・カヴァーも撮影した。その写真には、海辺でくつろぐ幸せそうなArt Garfunkelが収められているが、翌年にLaurieは他界。その後に『Scissors Cut』は制作されており、Art Garfunkelの特別な思いが美しいサウンドに込められている。

●収録曲
1. Scissors Cut / 愛の回転木馬 - 3:52
2. A Heart In New York - 3:14
3. Up In The World / 街はたそがれ - 2:17
4. Hang On In / 北風のラストレター - 3:47
5. So Easy To Begin / 雨の舗道 - 2:54
6. Can't Turn My Heart Away / ひとり窓辺で - 3:23
7. The French Waltz - 3:12
8. The Romance - 3:10
9. In Cars / 美しき若葉の頃 - 3:49
10. That's All I've Got To Say (Theme From "The Last Unicorn") / 愛してる、ただそれだけ… - 1:54


◆プロデュース: Roy Halee, Art Garfunkel(vo)

◆参加ミュージシャン: Andrew Gold/Pete Carr/Dean Parks(g), Joe Osborn/Tony Levin(b), Rick Shlosser/Rick Marotta/Russ Kunkel(ds), Larry Knechtel/Jimmy Webb(k), Rob Mounsey/Michael Boddicker(sy), Michael Brecker(sax), David Campbell(strings), Teo Macero(conductor), Paul Simon/Lisa Garber/Leah Kunkel(bv), etc


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Warm Breeze
この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

コメント2件

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240

天使の歌声

Jimmy Webbの楽曲が光りますね。
特に「In Cars」が大好きで…。この美しいメロディ、アートが歌うことで完璧な仕上がりに。美しいですね。

2017年04月22日 (土) 22:53

Warm Breeze

Re: 天使の歌声

240さん、こんにちは。

Jimmy Webbの作る曲はどれも良いですよね。私も「In Cars」はお気に入りです。
240さんの『Jimmy Webb / Angel Heart』の記事も拝見しました。

ところで、私のブログの『お気に入りブログ』に、240さんの「音楽の杜」のリンクを置かせて頂きました。
今後とも、よろしくお願いいたします。

2017年04月23日 (日) 10:58