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Warm Breeze

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Art Garfunkel / Scissors Cut (1981年) - アルバム・レビュー

2017年04月22日
AOR名盤(1981年) 2
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Art Garfunkelの1981年のアルバム『Scissors Cut / 北風のラストレター』の紹介です。
Art Garfunkel / Scissors Cut (北風のラストレター) (1981年)
Art GarfunkelはNY生まれのシンガー・ソングライター。Paul Simonと組んだ「Simon & Garfunkel」の活動が有名だが、70年代以降はソロ活動に専念し、高音域の美しいテナー・ヴォイスをじっくり聴かせる良質なアルバムを作っている。

本作はArt Garfunkelの5枚目のソロ・アルバム。恋人のLaurie Birdに捧げたアルバムであり、クレジットの最後には "and is dedicated to you, Bird" と記されている。

女優であり写真家のLaurieは、Artの78年のアルバム『Watermark』のフロント・カヴァーを撮影した。その写真には、海辺でくつろぐ幸せそうなArtが収められているが、翌年にLaurieは自ら命を絶ち、帰らぬ人になってしまう。

本作『Scissors Cut』は、Laurieの死後に制作されたアルバム。Art Garfunkelにとって、特別な思いのある作品ということになろう。日本でのファースト・シングル「Hang On In / 北風のラストレター」はアップ・テンポなナンバーだが、それ以外は穏やかで静かな曲で構成された、とても美しいアルバムだ。

「Scissors Cut / 愛の回転木馬」「In Cars / 美しき若葉の頃」「That's All I've Got To Say / 愛してる、ただそれだけ…」の3曲はJimmy Webbの作。どれもJimmy Webbらしい格調高い名品で、「Scissors Cut」と「In Cars」の2曲は、Jimmy Webbの82年のアルバム『Angel Heart』にも収録されている。

「A Heart In New York」は、アメリカでのファースト・シングル。Billboard Hot 100チャートでは66位止まりであったが、ニューヨークという都会の緊張感と希望に満ちた街の空気を伝える名曲だ。

静謐でロマンティックな「Can't Turn My Heart Away / ひとり窓辺で」と「The Romance」はEric Kazの作品。このアルバムは、アメリカ盤とUK/日本盤で曲目が異なっており、「The Romance」はUK/日本盤のみの収録。アメリカ盤では、代わりに前作『Fate for Breakfast』から「Bright Eyes」がセレクトされている。

「The Romance」でのArt Garfunkelの歌声はとても繊細だ。朝靄の中から聴こえてくるようなその歌声は神秘的ですらあり、本作の中でもひと際美しい。

ここから「In Cars」へと続く流れは秀逸。「In Cars」にはPaul Simonもヴォーカルで参加しており、曲の最後には "Remember me to one who lives there, For she once was a true love of mine (そこに住むある人によろしく言ってくれ、彼女はかつての恋人だったから)" という「Scarborough Fair」の一節が歌われ、感動を誘う。

Art Garfunkelのアルバムの中で一番心を打つ作品。Artのアルバムから1枚を人に薦めるとしたら、迷わずにこれを選ぶ。

●収録曲
1. Scissors Cut / 愛の回転木馬 - 3:52
2. A Heart In New York - 3:14
3. Up In The World / 街はたそがれ - 2:17
4. Hang On In / 北風のラストレター - 3:47
5. So Easy To Begin / 雨の舗道 - 2:54
6. Can't Turn My Heart Away / ひとり窓辺で - 3:23
7. The French Waltz - 3:12
8. The Romance - 3:10
9. In Cars / 美しき若葉の頃 - 3:49
10. That's All I've Got To Say (Theme From "The Last Unicorn") / 愛してる、ただそれだけ… - 1:54


◆プロデュース: Roy Halee, Art Garfunkel(vo)

◆参加ミュージシャン: Andrew Gold/Pete Carr/Dean Parks(g), Joe Osborn/Tony Levin(b), Rick Shlosser/Rick Marotta/Russ Kunkel(ds), Larry Knechtel/Jimmy Webb(k), Rob Mounsey/Michael Boddicker(sy), Michael Brecker(sax), David Campbell(strings), Teo Macero(conductor), Paul Simon/Lisa Garber/Leah Kunkel(bv), etc


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Warm Breeze
この記事を書いた人: Warm Breeze
70年代、80年代の洋楽やAORを中心に、心の栄養と生活の潤いを与えてくれる素敵な音楽を紹介します。どちらかというと埋もれている名作を紹介したいという気持ちが強いです。

コメント2件

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240  

天使の歌声

Jimmy Webbの楽曲が光りますね。
特に「In Cars」が大好きで…。この美しいメロディ、アートが歌うことで完璧な仕上がりに。美しいですね。

2017年04月22日 (土) 22:53

Warm Breeze  

Re: 天使の歌声

240さん、こんにちは。

Jimmy Webbの作る曲はどれも良いですよね。私も「In Cars」はお気に入りです。
240さんの『Jimmy Webb / Angel Heart』の記事も拝見しました。

ところで、私のブログの『お気に入りブログ』に、240さんの「音楽の杜」のリンクを置かせて頂きました。
今後とも、よろしくお願いいたします。

2017年04月23日 (日) 10:58